調査や観察をする場合、調べたい対象すべてを 母集団といいます。
また、その母集団の中から選んだ一部を 標本(サンプル)といいます。
たとえば、「日本の10代のスマホ使用時間」を知りたいなら、
日本の10代全体が母集団です。
そして、その中から選んで調べた200人が標本です。
情報活用編プラス
第5章「データの活用」
IP04-07
標本調査と仮説検定
学習の内容
1. 調査対象の範囲の違いを知ろう
2. 全数調査と標本調査はどう違う?
3. 母平均と標本平均って何?
4. 標本から正しいデータを調べるには?
学校の研究で、日本の10代が1日に何時間スマホを使っているか調べることになったんだけど、どうやってデータを集めればいいんだろう。
日本の10代って、すごく人数が多いよな⋯。
たしかに全員は難しいよね。
e-Statとかにあるのかな?
いいところに気づきましたね。
日本の10代全員にアンケートを取ることはとても難しいです。
このような場合、一部のデータを調べて、全体のようすを考えるという方法を使います。
このとき大切になるのが、母集団、標本、
そして推定という考え方です。
これらの言葉の意味を確認していきましょう。
調査や観察をする場合、調べたい対象すべてを 母集団といいます。
また、その母集団の中から選んだ一部を 標本(サンプル)といいます。
たとえば、「日本の10代のスマホ使用時間」を知りたいなら、
日本の10代全体が母集団です。
そして、その中から選んで調べた200人が標本です。
| 用語 | 意味 | 今回の例 |
|---|---|---|
| 母集団 | 調べたい対象すべて | 日本の10代全体 |
| 標本(サンプル) | 母集団の中から選んだ一部 | 調査に答えた200人 |
調べたい全体が母集団で、その中の一部が標本ということだね。
「母集団」と「標本(サンプル)」はこれからよく出てくるので覚えておきましょう。
調査の方法には、全数調査と標本調査があります。
全数調査は、対象を全部調べる方法です。
正確に調べやすい一方で、人数が多いと時間も手間もかかります。
標本調査は、対象の一部だけを調べる方法です。
短い時間で調べやすく、現実の調査でよく使われます。
今回のように、日本の10代全体をすぐに調べるのが難しいときには、標本調査が役立ちます。
| 調査のしかた | 意味 | 特徴 |
|---|---|---|
| 全数調査 | 対象を全部調べる | 正確に調べやすいが、時間や手間が大きい |
| 標本調査 | 対象の一部を調べる | 短い時間で調べられるが、少しずれが出ることがある |
全数調査のほうがよさそうだけど、いつでもできるわけではないよな。
その通りです。調べたい人数が多いほど、標本調査の大切さがわかります。
もし標本調査をして、スマホの使用時間の平均を計算したら、その平均は日本の10代全体の平均になるのかな?
たしかに⋯。
調べた人たちの平均を日本の10代全体の平均というのは少し違うと思う。
いいところに気づきましたね。
このような調査では、母集団の平均と標本の平均の違いを考えることが大切です。
そこで登場するのが、母平均と標本平均という考え方です。
標本調査では、集めたデータから平均を求めることがよくあります。
ただし、その平均が母集団の平均と近い平均なのかを考えることが大切です。
母平均は、母集団全体の平均です。
日本の10代全体のスマホ使用時間の平均を調査する場合は、「日本の10代全員を調査した結果の平均」が母平均です。
ここでは、日本の10代全体の平均使用時間を仮に3.2時間だったとします。
この3.2時間が母平均です。
この3.2時間が、日本の10代全体の本当の平均なんですね。
そうです。
標本調査の場合、調査の結果がこの3.2時間に近いほど、正しい結果に近いということになります。
標本平均は、標本の平均です。
たとえば、日本の10代から50人を選んで平均を求めたときの値が標本平均です。
ただし、選ぶ人が変わると標本平均も変わります。
次の表は、別々の50人を対象に調査を行った結果です。
| 標本 | 人数 | 標本平均 |
|---|---|---|
| A | 50人 | 2.6時間 |
| B | 50人 | 3.4時間 |
| C | 50人 | 3.1時間 |
| D | 50人 | 3.3時間 |
同じ50人でも、選ぶ人が変わると平均も変わるよな。
そうですね。
調査して求めた平均を標本平均といいます。
そして、この標本平均は、母平均とぴったり同じになるとは限りません。
つまり、標本平均は母平均3.2時間と少しずれるということですよね。
その通りです。
この母平均とのずれを標本誤差といいます。
標本調査では、標本から平均を求めます。
しかし、標本平均は母平均とぴったり同じになるとは限りません。
このような、標本から求めた値と母集団の本当の値とのずれを 標本誤差といいます。
たとえば、日本の10代のスマホ使用時間の母平均が
3.2時間だとします。
ここから50人ずつ選んで標本調査をすると、標本平均は少しずつ変わります。
| 標本 | 人数 | 標本平均 | 母平均との差 |
|---|---|---|---|
| A | 50人 | 2.6時間 | -0.6時間 |
| B | 50人 | 3.4時間 | +0.2時間 |
| C | 50人 | 3.1時間 | -0.1時間 |
| D | 50人 | 3.3時間 | +0.1時間 |
このように、標本平均は毎回少しずつ違う値になります。
では、同じような標本調査を何回も行うと、どうなるでしょうか。
標本平均をたくさん集めていくと、その分布は 母平均3.2時間の近くに集まりやすいことが分かります。
つまり、標本平均は毎回少し違っても、 全体として見ると母平均の近くに集まりやすいという特徴があります。
| 標本 | 人数 | 標本平均 |
|---|---|---|
| A | 50人 | 2.6時間 |
| B | 50人 | 3.4時間 |
| C | 50人 | 3.1時間 |
| D | 50人 | 3.3時間 |
| E | 50人 | 3.5時間 |
| : | : | : |
何回も標本調査をすると、標本平均がどのあたりに集まりやすいか見えてくるんですね。
その通りです。
全体として見ると、標本平均は母平均の近くに集まりやすいのです。
次に、1回の調査で集める人数に注目してみましょう。
1回の調査で調べる人数が少ないと、標本平均は広くばらつきます。
反対に、1回の調査で調べる人数が多いと、標本平均は母平均の近くに集まりやすくなります。
つまり、調べるデータが多いほど、標本平均のばらつきは小さくなるのです。
| 標本 | 人数 | 標本平均 |
|---|---|---|
| A | 5人 | 2.5時間 |
| B | 5人 | 3.7時間 |
| C | 10人 | 3.1時間 |
| D | 10人 | 3.3時間 |
| 標本 | 人数 | 標本平均 |
|---|---|---|
| A | 500人 | 3.0時間 |
| B | 100人 | 3.1時間 |
| C | 1000人 | 3.2時間 |
| D | 500人 | 3.2時間 |
1回に調べる人数が多いと、青い点が母平均3.2時間の近くに集まっていますね。
本当だ。
人数が少ないときは、2.7時間や3.7時間みたいに大きくずれていたけど、人数が多いと3.2時間の近くに集まっているね。
いいところに気づきましたね。
このように、調べる人数が多いほど、標本平均のばらつきは小さくなるという特徴があります。
調査する人数による違い
そして、標本平均が母平均の近くに集まりやすくなると、母平均はこのあたりだろうと考えやすくなります。
このように、標本のデータを手がかりにして、母集団のようすを考えることを、 推定といいます。
推定とは、標本調査から得た標本平均を元に、母平均や母集団の様子を推測することを指します。
なるほど。調査した結果から、全体を予想するんですね。
でも、その予想が本当に正しいかどうかは、どうやって確かめるんだろう。
いいところに気づきましたね。
その推定が本当に正しいといえるのかを調べる方法の一つに
仮説検定があります。
次は仮説検定について学習しましょう。
|
母集団 |
調査や観察をする全ての対象のこと。 |
|
標本(サンプル) |
母集団から選んだ一部の対象のこと。 |
|
全数調査 |
調査対象の全てを調査すること。 |
|
標本調査 |
調査対象の一部のみを調査すること。 |
|
母平均 |
母集団の平均値のこと。 |
|
標本平均 |
標本調査から得られた結果の平均値のこと。 |
|
標本誤差 |
母平均と標本平均の差のこと。 |
|
推定 |
標本を元に調査を行い、母集団がどのような値を持っているか推測すること。 |